記事の要点

1. ガソリン税の誕生と変遷

  • 戦前・戦中: 1937年に代用燃料の生産助長を目的に導入。戦時中の配給制移行により一時廃止されました。
  • 戦後: 1949年に財源確保のため復活。1954年からは道路整備に用途を絞った「道路特定財源」となりました。
  • 暫定税率の導入: 1974年、オイルショックによる財源不足を補うため、2年間の時限措置として税率を約2倍に引き上げ。しかし、その後50年にわたり延長が繰り返されました。

2. 政治に翻弄された「暫定税率」と「トリガー条項」

2008年の失効・復活騒動や、2010年の「特例税率」への名称変更、東日本大震災による「トリガー条項(価格高騰時の減税)」の凍結など、制度は迷走を続けました。しかし、2025年末、高市政権下でついに暫定税率の段階的廃止が合意・実現されました。

3. ガソリン価格の構造と現状

ガソリン価格は、本体価格に加えて7種類の石油関連税が加算される多層構造です。

  • 二重課税の問題: ガソリン税などの税金が含まれた販売価格に対し、さらに消費税が課される「タックス・オン・タックス」の状態が続いています。
  • 現在の危機: 暫定税率は廃止されたものの、イラン・イスラエル・アメリカ間の紛争による原油高騰で、価格は $1$ リットル当たり 200円 を超える事態となっています。

4. まとめ

長年の悲願であった暫定税率廃止は成し遂げられたものの、地政学的リスクによる価格高騰が家計を圧迫しています。政府は $170$ 円を超える分を補助する方針ですが、財政負担の増大による将来的な増税懸念など、課題は依然として残っています。

車をはじめ様々な機械を動かすために必要となるのがガソリンですが、ガソリンにはガソリン税という税金がかかっているのです。
ガソリン税については暫定税率の廃止や補助金などが注目されていますが、そもそもガソリン税はどのような経緯で導入されたのでしょうか?
導入された経緯について、解説します。

ガソリン税導入の経緯は?

車に乗っている人が普段何気なく支払っているガソリン代の中にはガソリン税という税金が含まれているのですが、ガソリン税はどのような経緯で導入されたのでしょうか?

導入されたのは1937年のことで、正式には揮発油税と地方揮発油税を合わせたものがガソリン税と呼ばれています。

当初は代用燃料の生産を助長するために導入されていて、3年後には税率が3倍近くに引き上げられたのです。

しかし、1943年には石油専売法が施行されてガソリンが配給制となったため、課税が廃止されました。

戦後になると、ガソリン車と比べて代用燃料車は割高だったため、代用燃料車との均衡や財源の確保のために1949年には従価税として揮発油税が復活しました。

1951年からは従量税となり、1954年からは道路特定財源となって1955年からは揮発油税以外に地方道路税も課されるようになったのです。

税率は租税特別措置法改正に伴って何度も増え続け、特に1974年からは2007年までの暫定措置として暫定税率が適用され、ガソリン税は2倍になっていました。

2008年に暫定税率の期限切れとなったのですが、期限切れの翌月には復活となり2025年に廃止されるまで続いたのです。

また、2010年の租税特別措置法改正ではガソリン価格が3カ月平均の小売価格で160円を超える場合は暫定税率が停止となる仕組みが設けられました。

条件を満たしたときに実効となるトリガー条項と呼ばれるものでしたが、翌年には東日本大震災の復興財源に充てるという理由で凍結されたのです。

ガソリン税は2009年3月末までは道路特定財源として、国と地方の道路財源に使われる目的税となっていました。

税率が徐々に上がってきたのも財源を確保するためでしたが法律として明記はされておらず、2009年に制度自体が廃止となったのです。

現在は暫定税率が廃止となってガソリン価格は下がってきていたのですが、イランとイスラエル、アメリカの戦争によって原油価格が高騰しています。

ガソリンの価格も同じように、税率以外のことが原因となって大幅に高騰しているのです。

ちなみに、ガソリンにはガソリン税以外にも様々な税金、諸経費などが加算されています。

ガソリン以外も含めた石油に課されている税金のことはまとめて石油諸税といい、ガソリン税も含めて7種類あるのです。

石油製品関税と石油ガス税、軽油引取税石油石炭税、航空機燃料税、ガソリン税(揮発油税+地方揮発油税)、地球温暖化対策のための税(環境税)があります。

ガソリンの本体価格は原油の運賃や保険料も含まれた原油CIFに加えて精製費や時価燃費、備蓄日、輸送費、金利、販売管理費なども加算されているのです。

さらに石油諸税のガソリン税と石油石炭税、石油製品関税と環境税が課されて販売価格となり、販売価格には消費税が加算されます。

ちなみに、消費税はガソリン本体価格ではなく販売価格に課されるため、石油諸税の分も消費税を支払う必要があるのです。

暫定税率について

ガソリン税が他の税金と大きく異なる点として暫定税率の存在があるのですが、暫定税率とはいったい何だったのかを解説します。

暫定税率というのは特例として認められていた税金であり、ガソリン税を構成している揮発油税と地方揮発油税に上乗せされていたのです。

暫定税率は1リットル当たり揮発油税が24.3円、地方揮発油税が0.8円で合計25.1円課税され、本来のガソリン税がほぼ倍になっていました。

暫定税率というのは現在から52年前の1974年に決まった租税特別措置法に基づくもので、第一次オイルショックによる財政悪化や道路整備財源の不足を補うものでした。

つまり、本来の税率と比べると2倍の税金が課されていることになっていて、ガソリン価格の高騰の原因の1つとなりました。

本来は2年間限定の時限措置として道路整備計画の財源不足の補填となる税制だったのですが、以降も2~5年ごとに延長、引き上げが繰り返されてきたのです。

35年以上延長され続けていたのですが、2008年のねじれ国会の中で政争の対象となったことで初めて失効となり、ようやく終わるはずと期待されていました。

再び延長する法案が掲げられたものの、野党の民主党が2007年に原油価格の高騰が顕著だったため廃止する方針を掲げ、2008年3月で失効となりました。

2008年4月には暫定税率がなくなったことでガソリン税はほぼ半分になりましたが、5月になって再び暫定税率が復活して元の税率に戻ったのです。

さらに、2010年には租税特別措置法が改正されたことで暫定税率が廃止されたものの、同水準の特例税率として無期限で維持されることになってしまいました。

また、同時にトリガー条項として3か月の平均価格が160円を超えた場合は停止となることが定められたのです。

ところが、実際に条件を満たした時点では発動せず、さらに東日本大震災の復興財源に充てるとして臨時特例を適用し、条項の発動を停止してしまいました。
今回、高市早苗氏が内閣総理大臣に任命されたことで、2025年末での与野党6党で暫定税率の廃止に合意することに至り、段階を経て廃止が実現されたのです。

しかし、イランとイスラエル・アメリカの戦争によって原油の安定供給が危ぶまれ、ガソリン代は高騰して1リットル200円を超える事態にもなっています。

政府ではガソリン価格が170円を超える分は全額補助するという方針を打ち出しているのですが、財政負担が大きくなることで増税の不安は尽きることがないでしょう。

まとめ

ガソリン税は戦時中の1937年に制定された税金で、揮発油税と地方揮発油税を合わせたものであり当時の代用燃料の生産を後押しするために導入されました。
一時はなくなったものの戦後に復活して、道路特定財源として地方道路税も課されるようになり、税率は徐々に上がっていき1974年からは暫定税率も導入されたのです。
暫定税率は2025年末で廃止となりガソリン価格は下がったのですが、イラン戦争によって再び高騰しています。