歯周病は、老若男女問わず罹患の確率が高い感染症として知られています。
また歯周病における特徴の一つに、関連する全身疾患が多いということが挙げられます。
つまり歯周病が原因で、他の病気にかかってしまうということです。
今回は、歯周病の悪化が引き起こす敗血症について解説します。

敗血症について

敗血症は、感染症によって体内の主要な臓器の機能が低下する疾患です。
具体的には細菌やウイルスなどの病原体による感染が全身に広がり、心臓や肺、腎臓などの臓器に炎症や障害を起こします。

ここでいう感染症には歯周病、細菌には歯周病菌が含まれています。

また敗血症になると、全身の震えや悪寒、発熱といった初期症状が見られるようになります。
そこからさらに進行すると、心拍数の増加や血圧の低下、呼吸困難や意識障害などが現れることもあります。

歯周病が敗血症につながる仕組み

歯周病を発症すると、歯茎に炎症が起こって赤くなったり腫れたりします。
ある程度進行した歯周病の場合、歯周ポケットも深くなっています。

また食事やブラッシングの際、深くなった歯周ポケット内の細菌が血管に侵入し、菌血症を引き起こします。
菌血症は、本来無菌であるはずの血液中に細菌が混入する状態です。

その後菌血症が全身に広がり、感染症がコントロールできなくなると、敗血症に発展します。
敗血症は、腎不全や敗血症ショックなど、重症化すると命に関わることがあります。
日本の場合、重症敗血症を患った3人に1人は死亡すると言われています。

特に、歯周病で歯を10本以上失った場合、敗血症の死亡リスクは5割以上も増加するとされています。

もちろん、すべての歯周病が上記のようなルートを辿るわけではありませんが、発症の可能性は十分にあります。

歯周病から来る敗血症の予防法

敗血症を予防するためには、まず歯周病の発症を予防しなければいけません。

具体的には日常的なブラッシングや歯科クリニックでの定期検診、歯周病の原因となる細菌の除去などが必要になります。

また歯周病を発症してしまった場合は、早期に治療しなければいけません。
歯周病が重度にまで進行した場合は、抜歯で対応することもあります。

最後に

歯周病の怖いところは、敗血症など命に関わる疾患につながる可能性があるものの、なかなか発症していることに気付かないという点です。
虫歯とは違い、痛みなどのわかりやすい症状はなかなか出ないため、早期発見・早期治療のためには定期検診を欠かさず受けるしかありません。
もちろん、ブラッシングは欠かさず行い、必要に応じて歯科クリニックでプラークや歯石も除去してもらうことをおすすめします。