以前に比べて中途での採用が当たり前になってきましたが、そんな新入社員を企業としてはしっかりと育てたいところですが、そこで不安になるのが適応障害です。
新入社員は、これまでと大きく環境が変わることから、適応障害が起りやすいのです。
企業としては、どのように対策するべきでしょうか?
適応障害について!
新入社員は、たとえば学卒の方の場合は、これまでの学生という立場から社会人へと立場が変わります。
今までも勉強などで忙しかったのですが、今度は会社の業務を覚えて一日も早く戦力にならなくてはいけません。
やる気のある人ほど、多くのプレッシャーを感じることでしょう。
そういった状態が、強いストレスになることも少なくありません。
そのような時、体調に異変が生じることがあります。
実はそれが、適応障害だったというケースがあるのです。
適応障害というのは、ストレスを原因として行動や情緒に症状が現れ、社会的機能が著しく障害される状態のことをいいます。
これが悪化すると、うつ病になる可能性もあるのです。
そして、うつ病を発症すると、普段の生活を送るのが困難になるほど抑うつな気分となり、不安を強く感じることになります。
それが、どう見ても正常といえる範囲を超えている状態になってしまうのです。
こういった症状は、ストレスの原因となる環境の変化などが生じてから1カ月以内には発症するもので、そのストレスがなくなると6カ月以上は持続しないといわれています。
5月病なども、この適応障害の代表的な症状といえるでしょう。
具体的な症状としては、まず情緒不安定になります。
不安が多く、ちょっとしたことで怒りやすくなり、緊張することも増えます。
また、焦りを感じることもあるでしょう。
抑うつ気分になって口数が少なくなり、無断欠勤をすることや遅刻なども増えてきます。
また、集団にうまくなじむことができず、違和感を覚えていることもあります。
総じて、普段とは行動が違うように見えると、注意しなくてはいけません。
また、体調面ではめまいや発熱、腹痛などが起ることもあります。
仕事をしている最中に、極度に緊張した様子が見られることもあるため、上司は日ごろからよく部下の様子を見ているようにしましょう。
こうした症状が出た場合、ストレスの要因から少し離れることで改善されることもよくあります。
仕事や人間関係に対して不安を抱いてストレスになっているのなら、休みの時などは落ち着くでしょう。
新型うつという症状もあるのですが、これも適応障害の一種として考えられることもあります。
もし、部下が休みの間は平気で、仕事に出勤した時だけ体調が悪くなるような状態なら、この新型うつなのかもしれません。
適応障害と判断された場合、治療の方法としてはまずストレス因子を除去することが望ましいのですが、仕事がストレスの原因であればそう簡単にはいかないでしょう。
その場合は、本人の適応力を上げることを考えることになるでしょう。
適応力を上げる方法としては、認知行動療法というカウンセリングを行うのが一般的です。
これは、ストレスの原因に対して本人がどう考えているのかを知り、その考えにアプローチしていく方法です。
これについては、本人が自主的に取り組んでいくのが治療への近道です。
また、症状によっては薬物療法が用いられることもあります。
ただし、これは根本的な解決にはならないため、薬の効果が切れれば再び症状が起ってしまうでしょう。
治療方法としては、カウンセリングが中心となります。
企業はどのように対策するべきか
適応障害は、一度発症してしまうと長い間苦しむことになります。
そのため、早期に対応していくことが望ましいのです。
企業は、どのように対策するべきでしょうか?
まずは、新入社員向けにメンタルヘルス対策の研修を行いましょう。
ストレスを感じたとき、早期に相談して改善していくことの大切さを教えていくのですが、産業医や産業保健氏がいる企業ならその人たちに講師を頼むとより効果的です。
メンタルヘルス対策には、自分で取り組むことができるものもあります。
そういったものに関しても、教えておくといいでしょう。
まずは自分で対策をしようという気持ちがなければ、うまくはいきません。
また、新入社員ばかりではなく、先輩となる社員や管理職に対しても、研修をしましょう。
新入社員のメンタルヘルスを守るためには、先輩社員や管理職もそれを理解して取り組んでいかなくてはならないのです。
本人も自覚なく抱えているストレスにいち早く気づいて、対策をしていくのが望ましいといえます。
こういった取り組みをラインケアというのですが、特に新入社員と直接接する機会が多い先輩社員が中心になって行うべきでしょう。
こういったことの研修を行うことで、新入社員のストレスも適切に対処することができるでしょう。
場合によっては、仕事の指導や助言をするメンター制度を導入することも考えた方がいいでしょう。
従業員が50人以上いる企業では、年1回以上メンタルヘルスを行うことを義務付けられています。
知らないうちに抱えているストレスも、これで気づくことができるかもしれません。
適応障害への対策は、早期発見が重要です。
早い段階で気づくことができれば、重大な問題とはなりにくいのです。
ストレスチェックの内容なども、自主的に決定してもいいかもしれません。
適応障害対策として
適応障害を起こさないために、新入社員に対して避けるべき行為について解説します。
まずは何といっても、プレッシャーをかけることです。
乱暴な言動や言葉の暴力なども、避けなくてはいけません。
また、新入社員が緊張しながら仕事をする中で、質問などがあって聞かれたときは否定をしないようにしましょう。
新入社員の正しい指導方法について、しっかりと学びましょう。
無視や無理解なども、やってはいけないことです。
メンタルヘルスの問題は、近年増加しつつあります。
それを甘えなどといってしまうと、もう頼る相手がいなくなってしまうのです。
しっかりと相手の状況を理解して、過剰なプレッシャーなどをかけないようにするのが、適応障害対策として重要なポイントです。
相手が苦しんでいるのなら、それを解消できるように助けてあげましょう。
最後に
適応障害というのは、本人以外からはわかりにくいものです。
しかし、苦しんでいるときは必ずそれを知らせるサインが出ています。そのサインに気づけるように、しっかりと新入社員の指導をしましょう。
また、その際は正しい指導方法について理解してから行いましょう。
特に、抑圧は絶対にしてはいけないことなので、注意してください。