皆さんは、言葉の通じない国に行った経験がありますか?
重度自閉症の場合、会話がままならず、異国の地にひとり放り込まれたような錯覚を覚えるといいます。
2016年、15歳の少年イド・ケダーさんは、重度自閉症である自身のこれまでを1冊の本にまとめ、出版しました。
今回はその自叙伝から、思うように気持ちが伝わらない葛藤をお伝えします。

自閉症の人の気持ちが思うように伝わらない葛藤

自閉症の人は、一般的に知的障害があるとされています。
会話がままならない為、言葉そのものを理解しないと思われていますが、実際はそうとも言い切れないのです。
早速、本人談をご紹介しましょう。

「みなさんはそこの言葉がしゃべれない国に行ったことはあるだろうか。
思っていることをだれにも説明できないのはおそろしいことだ。
会話のできない自閉症者は、この孤独と一生折りあっていかなくちゃならないのだ。」

『自閉症のぼくが「ありがとう」を言えるまで』イド・ケダー著/ 入江真佐子訳/ 飛鳥新社

いかがでしょうか。
本当に言葉が理解できないのであれば、このような考察を落とす事ができるでしょうか。
イドさんのように、実際は会話ができないだけで、頭の中では様々な葛藤を抱えている可能性もあるのです。

それにしても、知的障害という前提が壁になっている事もあるとは、驚きですね。
中には、自閉症の人に対し赤ん坊に接するように話し掛ける人もいますが、ひょっとすると、そういった行為は、彼らの自尊心を傷つけているのかもしれません。

知能テストを受けさせてみる

自閉症の人はコミュニケーションツールを工夫する事で、意思疎通を図ることができる可能性があります。
イドさんの場合は、文字盤を使ってその道筋をつけたようです。

また、頭では理解できている場合、知能は決して低くありません。
そういった事実を確認する為にも、一度知能テストを受けてみると良いでしょう。
実際には高い知性や感性を持っていた、という事が分かれば、子供向けダイジェストのものではなく、もっと応用的なものを学んでいけるかもしれません。
その方が、回り道をせずに済むだけでなく、心のケアにもつながるのではないでしょうか。

知能テストについて気になる方は、専門機関までご相談ください。

まとめ

今回は、イド・ケダーさんの自叙伝から、自閉症の人の気持ちが思うように伝わらない葛藤についてお伝えしてきました。
自閉症の人は会話ができなくても、頭では理解できている人もいます。
その場合、知的障害という事実がかえってもどかしく、壁に感じる場合もあるというのは、多くの人にとって、言われなければ分からない事でしょう。
気になる人は専門機関に相談し、知能テストを受けてみると良いかもしれませんね。