近年、アメリカの重度自閉症の少年、イド・ケダーさんの自叙伝が日本語版で出版され、話題を呼んでいます。
自閉症といえば、コミュニケーション障害があるとして有名ですよね。
今回は、会話ができない15歳の少年が綴った1冊の本から、自閉症の真実をお伝えしていきたいと思います。
自閉症の方に多い、手をパタパタさせてしまう行動の裏には、何があるのでしょうか?

児童福祉法に基づく児童発達支援施設、放課後等デイサービス(放デイ)、保育所等訪問支援など障害児福祉施設を掲載中しております。

児童発達支援とは、小学校就学前の6歳までの発達に遅れや障がいのある、お子様が通所にて支援を受けるための施設になります。
また、放課後等デイサービス(放課後デイまたは放デイ)は、学校就学中(小学生から高校生まで)の障がい児に対して、放課後や休日、長期休暇中などに生活能力の向上訓練、社会コミュニティの交流機会の提供を行っている施設になります。

発達障害、自閉症、ADHDや学習障害(LD)を抱えるお子さまへ、それぞれの施設や教室で、得意としている療育(例えば音楽療法・運動療法など)がありますのでお探し頂けます。

自閉症の人が手をパタパタさせるワケ

例えば、手をパタパタさせる、変な叫び声を連続的にあげる、といった行為は自閉症の人によく見られるものです。
こういった刺激行為を「スティム」と言います。

スティムは特に、ストレスを感じたり緊張したりする場面でよく見られ、そういった衝動を和らげる為に起こります。
ここで、実際の記述をご紹介しましょう。

「勢いに乗ってしまうと、やめなきゃと思ってもやめられない。
“やめなさい”とぼくをたしなめる人の言葉よりも、自分の衝動のほうに耳を傾けてしまう。うっぷんを吐きだすために刺激がほしいのだ。」
『自閉症のぼくが「ありがとう」を言えるまで』イド・ケダー著/ 入江真佐子訳/ 飛鳥新社

このように、スティムをしている間は大変心地良く、また、刺激されている感覚もある事から、やめることができません。
この時ばかりは、周囲がどう思おうと、衝動に駆られてしまいます。
周囲の目よりも刺激を欲する衝動の方が勝ってしまうというわけです。

子供の心の負担について考える

スティムは自閉症患者にとって心の安定にもなっている為、改善が難しいでしょう。
ただし、心の負担を軽減させてあげる事で、その頻度を抑える事は可能です。

集団生活においては、こまめに休憩をとるようにし、長時間、人の輪の中にいないようにします。
そして、「できない事」あるいは「できる事」に対し、レッテル貼りをしないようにしましょう。
いずれにせよ、子供の心の負担になる可能性があります。
発達障害があるとはいえ、何でも決め付けず、柔軟な考え方が必要とされるでしょう。

また、お子様のスティムが親御さんにとって苦痛な場合は、我慢せず専門機関に相談する事をおすすめします。
特に奇声を上げるボイススティムがある場合、てんかん薬による脳波異常も関係しているかもしれません。
手のスティムは見なければ気にしないでいる事もできますが、ボイススティムは頭痛や睡眠不足など、親御さんの健康状態を悪化させる可能性がある為、注意しましょう。

まとめ

今回は、イド・ケダーさんの自叙伝から、自閉症の方が手をパタパタさせる理由について解説しました。
彼は2歳8カ月の時に自閉症と診断され、さらには知的障害もあると告げられました。
これまで、ただ唸り声をあげていたイドさんでしたが、7歳の時に自発的に文字を書こうとした事がきっかけで、コミュニケーションを学んだのです。
それにしても、手をパタパタさせる行為に、緊張と心地よさと衝動が密接に絡んでいたとは驚きです。
これは、本人でなければ分からない事ですよね。