発達障害の人の中には、特定の分野や環境等に対し、強いこだわりをみせる人がいます。
これは一見、わがままのように感じたり、臨機応変に対応できないように見えたりするでしょう。
ですが、そこには彼らにしか分からない困難があるのです。
本記事では、NHKの番組『発達障害って何だろう』へ寄せられた投稿から、こだわりや不安についてクローズアップしていきたいと思います。
こだわりが強く、不安に陥りやすい状況とは?
一見、何とでもないような状況でも、発達障害の人の場合、パニックを起こしたり、怒り狂ったようになったりする事があります。
こういった時は、どのような心境なのでしょうか。
早速、番組ホームページへ寄せられた投稿をご紹介しましょう。
以下、不安を感じる人のケースです。
「私はアスペルガー症候群です。しばしば、自分が感じるスムーズな物事の運びが上手く行かない時、パニックを起こし、カーっとなり頭が真っ白になります。家族に相談したところ、物事がスムーズに行くことは珍しいことで、ラッキーであり当たり前では無い、と考えるように、と言われました。それを聞いて少し気がラクになりました。」
(ひじき 女性40代 東京都 当事者)
以下、こだわりが強い人のケースです。
「家の中で、使っていないものがあるとすごく気になります。家族に理由を聞いて、必要ないなら処分してもらいます。私物は自分の部屋に置くはずなので、何でここに置いてあるの?と混乱します。数日様子を見て改善されない場合、持ち主に持って行くか、持ち主の部屋に置いておくかします。また、物が多いと混乱するので極力シンプルにしてもらっています。」
(シンプル 女性30代 茨城 当事者)
参考URL:
https://www1.nhk.or.jp/asaichi/hattatsu/torisetsu/cat_particular.html
「ひじきさん」や「シンプルさん」のような場合、自分一人で解決するのは困難である事が伺えますよね。
このような場合は、どういった対処が求められるでしょうか。
強いこだわりや不安を抱えているタイプの対処法
上記の「ひじきさん」は、周囲の温かい言葉がけで軽減されるようですし、「シンプルさん」の場合も、私物を置かないようにしてもらう等の協力を得ながら、生き辛さを軽減していますよね。
その他には、どういった対処法があるでしょうか?
自分でできる事と、周囲ができる事に分けて考えてみましょう。
自分でできる工夫の中には、以下のようなものが挙げられます。
- 第一プランが成功しなかった場合を想定し、二の矢を打っておく
- どういった時にパニックになるのか書き出しておき、それを周囲に伝える
- 共同生活の場では、あらかじめ取り組み内容に関する目的を聞いておく
周囲ができる事の中は、以下のようなものが挙げられます。
- こだわりを頭ごなしに否定しない
- 注意する時は、突発的に発言せず、ポイントをまとめたメモを渡すなどする
- 目的を明確にし、事前に他の選択肢についても提示しておく
このように、特定の分野に対するこだわりや不安を抱えている人に向き合ってみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、発達障害の人の「強いこだわりや不安」をクローズアップしてみました。
誰しも、予期せぬアクシデントには驚いてしまうものです。
しかし大抵の場合「気にしない」「こうすればよい」といった対処法が、経験と共に少しずつ身についていきますよね。
要は、ショックを受けるところまでは同じでも、その後の回復スピードが問題なのです。
発達障害の人の場合は、その回復が遅いと思っておきましょう。
また、集団生活の場では、折り合いポイントについても合わせて伝えておくとよいですね。