コロナウイルスによる影響が広がっている最中、ますます将来が見えづらくなっている昨今、こちらでは、求職中であったりこれから転職を考えている方へ再就職手当および就職促進定着手当について解説致します。
転職経験がある方については、失業給付金(失業手当)を受けられた方は多くいるなか、再就職手当や就業促進定着手当について活用されているケースはすくないようです。
また、「失業手当を受給できているのだから、あえて、再就職手当をもらってまで働き始めるのは」って思われている場合も多くあります。
再就職手当について
再就職手当は、失業給付金の受給期間中に、安定した職業に就いた場合に支給される手当になります。
早い段階で、再就職を促進するために設けられた制度になります。
特に、早期に就職された方に置かれましては、給付率が高くなり、失業給付より合計で多くなる場合があります。
- 早ければ早いほど給付率が高くなる
- 再就職手当と会社から給料がもらえる
- 失業中の空白(ブランク)期間が短り、経歴がきれいになる。
就業促進定着手当について
就業促進定着手当とは、再就職手当を受給された方で、
転職によって給料がさがってしまった方が受給できる手当になります。
転職を成功される方がいる一方で、長年勤めていた会社からの転職の場合では下がってしまう場合の方が、多い場合がほとんどですので、給料が下がったときの手当はありがたいものです。
再就職手当の受給要件・支給の条件は?
再就職手当を受給するには、以下の項目すべてを満たす必要があります。
- 失業保険受給の手続き後、7日間の待期期間の満了後に就職または自営業を開始した人
- 失業手当の支給残日数が3分の1以上残っている人
- 退職した会社とは関係ない会社に就職した人(資本金・資金・人事・取引面で密接な関わりがないこと)
- 自己都合退職により3ヶ月の給付制限がある場合、1カ月目はハローワークか人材紹介会社の紹介で就職先を決めた人
- 再就職先で1年を超えて勤務することが可能な人
- 雇用保険の被保険者
- 過去3年以内に再就職手当や常用就職支度手当の支給を受けていない人
- 受給資格が決定する前に内定を受けていたのではない人(再就職手当を不正に受け取るために、内定を受けていることを隠して申請をしたのではない人)
4の、「ハローワークだけでなく人材紹介会社の紹介でも就職先を決めた人」っては、紹介会社によっては転職や就職のお祝い金などもある場合あり、お得に転職するポイントですね。
また、5の、「1年を超えて勤務することが可能な人」という条件についてもは、契約期間が1年以下の派遣社員など契約の更新の見込みがない場合などで、確認ポイントになります。
再就職手当の計算方法は?
計算の方法は、離職前の給料や失業保険の残日数によって変わります。
支給残日数 × 給付率 × 基本手当日額
■支給残日数
支給残日数は、雇用保険受給資格者証の3面に記載されており、失業手当の残りの日数になります。
■給付率
給付率は、残日数が3分の2以上残っていれば、70%、3分の1以上なら60%というように、失業手当の残りの日数によって変わります。
所定給付日数 | 支給率60% | 支給率70% |
---|---|---|
90日 | 30日以上 | 60日以上 |
120日 | 40日以上 | 80日以上 |
180日 | 60日以上 | 120日以上 |
360日 | 120日以上 | 240日以上 |
■基本日当日額
基本日当日額は、失業保険受給中に貰える1日当たりの金額です。離職前の給料によって決定され、年齢ごとに上限が定められています。
再就職手当の計算例
例1) 長年働かれていた方で、所定給付日数が360日の方が、支給残日数の3分の2以上の250日を残して転職が決まった方(基本日額が7,000円の場合)
250日 × 70% × 7000円 = 1,225,000円
例2) 所定給付日数が120日の方が、支給残日数の3分の1以上の70日を残して転職が決まった方(基本日額が6,000円の場合)
60日 × 60% × 6000円 = 252,000円
例3) 所定給付日数が180日の方が、支給残日数の3分の2以上の130日を残して転職が決まった方(基本日額が6,000円の場合)
130日 × 70% × 6000円 = 546,000円
再就職手当の申請方法
再就職手当を受給するには、申請者の居住地を統括するハローワークで、再就職手当支給申請書をもらう必要があります。
再就職により、居住場所から転居された場合は、失業手当を受けていたハローワークに申請が必要です。
また、郵送でも行うことができます。
再就職手当の申請に必要なもの
- 再就職手当支給申請書
- 雇用保険受給資格者証
- 印鑑
再就職手当支給申請書は、ハローワークで就職の申告をしたときに渡される用紙になります。(ハローワークのインターネットサービスからもダウンロードできます。)
再就職手当支給申請書の記入には、再就職先に記入してもらう項目もありますが、見本をハローワークで頂けたりご相談できますので、ご安心下さい。
再就職手当の申請の期限は?
以前は、再就職手当の申請期限は、再就職した日の翌日から1カ月以内と決められていましたが、現在は、再就職した日の翌日から数えて2年までは申請が認められています。
再就職手当の支給はいつ?
上記の再就職手当支給申請書、雇用保険受給資格証明書等の書類を提出してから、ハローワークによる受給資格等の審査があり、支給まで概ね1か月程かかります。
就業促進定着手当の受給要件・支給の条件は?
就業促進定着手当の受給には3つの条件を満たす必要があります。
- 再就職手当の支給を受けている人
- 再就職手当の支給を受けた再就職の日から、同じ事業主に6カ月以上雇用されている人
- 再就職後6カ月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回る人
簡単に、再就職手当を受給して再就職され、6ヶ月以上働き、給料が前職より下がってしまった場合は、受給ができるものです。
就業促進定着手当の計算方法
(離職前の賃金日額-再就職後6カ月間の賃金の1日分の額)× 再就職後6カ月間の賃金の支払基礎となった日数
■離職前の賃金日額
雇用保険受給資格者証の1面14欄に記載されている「離職時賃金日額」になります。
■再就職後6カ月間の賃金日額
再就職先の給与が月給制の場合
再就職後6カ月間の賃金の合計 ÷ 180日
再就職先の給与が日給制または時給制の場合
再就職後6カ月間の賃金の合計 ÷ 180日
または
(再就職後6カ月間の賃金の合計額÷働いた日数) × 70%
のどちらか金額が高い方が適用されます。
※こちらの「賃金」については、総支給額になり、社会保険や各種税金が引かれる前の金額になります。
※通勤手当も含まれますが、賞与(ボーナス)は含みません。
■再就職後6カ月間の賃金の支払基礎となった日数
再就職先の賃金形態が、月給制なのか日給また時給制なのかによって変わります。
◆月給制の場合、実際に働いたかどうかにかかわらず歴日数(30日、31日など)で計算します。
◆日給月給制の場合は、欠勤した分が給与から控除されるので、給与が支払われた日数(所定労働日数)が支配の基礎日数になります。
◆日給や時給制の場合は、実際に働いた日数を数えます。
就業促進定着手当の計算例
離職前の賃金日額が13000円が、再就職先の6ヶ月の賃金の1日分が、12000円になった場合。※1か月は30日の場合あれば31日などあり、ここでは、6ヶ月を184日で計算します。
( 13000 – 11000 ) × 184日 = 368000円
ただし、就業促進定着手当には上限額があり、金額が上限以上になる場合は、上限額が支給されます。
就業促進定着手当の上限額
基本手当日数 × 支給残日数 × 30%または40%
※再就職手当の給付率が60%だった人は40%、70%だった人は30%
■基本手当日額
基本手当日額は、雇用保険受給資格者証の第1面の上記の場所に記入されています。
■支給残日数
支給残日数は、雇用保険受給資格者証の3面に記載されており、失業手当の残りの日数になります。
■30%または40%
再就職手当の給付率が70%だった方は30%、60%だった方は40%となります。
例えば、基本手当日額が6000円で再就職された時の支給残日数が70日(120日の支給日数に対して3分の1以上)の方の場合の上限額は、
6000円×70日×40% = 168000円
就業促進定着手当の申請方法
就業促進定着手当の申請は、再就職した日から6カ月経過後、再就職手当を申請したハローワークで行います。
再就職手当と同様、郵送による手続きも可能です。
申請に必要なもの
・就業促進定着手当支給申請書
・雇用保険受給資格者証
・就職日から6カ月間の出勤簿の写し
・就職日から6カ月間の給与明細または賃金台帳の写し
就業促進定着手当の申請期限
再就職手当と同様に、就業促進定着手当にも6カ月雇用された日の翌日から数えて2カ月以内という期限があります。
最後に
再就職手当を受給された方は、今受給中の方に、就業促進定着手当も非常にありがたいものです。
ここでは紹介しきれなかったこと、法令等により変更されている事項やご自身の状況や申請の方法など、お近くのハローワークでご相談いただけますので、こちらでは、一つの参考になれればと思います。
参考資料
就職促進給付
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_stepup.html