中東情勢の緊迫化に伴い、再び「ホルムズ海峡」の封鎖リスクが世界経済の大きな懸念材料となっています。なぜこの狭い海域がそれほど重要なのか、その理由と現状を解説します。
- 世界のエネルギー供給を握る「喉元」 ペルシャ湾とインド洋を結ぶこの海峡は、世界の石油貿易に不可欠な航路です。液化天然ガス(LNG)も世界流通量の約20%がここを通過しており、封鎖は世界のエネルギー市場にとって「悪夢のシナリオ」を意味します。
- イランによる多様な妨害工作 完全な軍事封鎖に至らずとも、イランは小型高速艇による「嫌がらせ」や無人機・ミサイル攻撃、機雷の敷設、さらにはGPS信号の妨害など、多様な手段で商船の航行を脅かすことができます。
- 市場への壊滅的な打撃 もし海峡が1日でも封鎖されれば、原油価格は1バレル=120〜150ドルまで急騰するとの試算もあります。2026年現在も、封鎖の予兆だけで価格の乱高下が続いており、世界経済への直接的な脅威となっています。
- イラン自身にとっても「諸刃の剣」 海峡封鎖は、イラン自身の石油輸出を止めるだけでなく、最大の顧客である中国との関係悪化を招くリスクがあります。サウジアラビアやUAEはパイプラインによる代替ルートを持っていますが、イラクなどの他国やイラン自身には逃げ道が少ないのが実情です。
【結論】 ホルムズ海峡は、単なる地理的な関門ではなく、世界経済の安定を左右するパワーバランスの象徴です。護衛艦隊による船団護送などの対策は進むものの、物理的な封鎖や執拗な妨害が現実となれば、その代償は全世界が払うことになります。
以下、記事の詳細
イランはイスラエルとアメリカから攻撃を受け、報復としてホルムズ海峡付近の船舶を攻撃し、通行を妨害しています。
ホルムズ海峡は狭い水路なのですが非常に重要な場所であり、封鎖されれば世界経済にも影響を及ぼすことになるのです。
ホルムズ海峡がなぜ重要なのか、解説します。
ホルムズ海峡の重要性について
イランがホルムズ海峡を封鎖すると世界経済に大きな混乱が生じるといわれているのですが、ホルムズ海峡はなぜ重要な場所なのでしょうか?
ホルムズ海峡はペルシャ湾とインド洋を結んでいる狭い水路で、イランやオマーン、アラブ首長国連邦など多くの国に囲まれています。
狭い水路なら封鎖されたとしてもあまり関係がないように思えるかもしれませんが、実は世界の石油貿易に不可欠な地点なのです。
ペルシャ湾の近くの国には産油国が多いのですが、原油の海上輸出にはホルムズ海峡を通過しています。
もしホルムズ海峡がイランによって封鎖されてしまった場合は、海上輸出がかなり難しくなってしまうでしょう。
液化天然ガス市場にとっても極めて重要で、昨年は世界の約20%が通過しており大半はカタールから輸出されています。
国連海洋法条約によると、沿岸国は自国の海岸線から12カイリ、約22キロメートルまで主権を行使できるとされているのです。
ホルムズ海峡の最狭部はかなり狭いものの約34キロメートルはあり、定められた主権が行使できる距離よりは広くなっています。
イラン政府は以前から、地政学的緊張が高まった局面になれば海上封鎖を実施することができると主張してきたのです。
ただし、今までホルムズ海峡を完全に閉鎖するという脅しは口にしてきたものの、実際に行ったことは一度もありません。
もしイランがホルムズ海峡を全面封鎖することになれば、米国をはじめとして巡回している西側からは強い反応を招いてしまう可能性が高いでしょう。
また、イランは実際に軍艦を1隻も出さないまま深刻な混乱を引き起こすこともできます。
海峡沿いの海岸線を活用することができるため、小型高速艇を出すだけで嫌がらせをすることができるのです。
嫌がらせだけなら比較的影響は小さいのですが、無人機によるタンカーへの攻撃やミサイル攻撃による商船の航行の妨げなど、過激な選択肢もあり得ます。
機雷を敷設することもできますが、イランの船もリスクが高まってしまうため実施する可能性は低いといわれてきたのです。
しかし、現在では通航の妨害のため各所に機雷を敷設することが計画されていると報じられています。
現代の船舶はGPS信号の妨害にも弱く、GPSを頼りにする船が世界各地で航行を妨げられることになり、リスクが高くなっているのです。
ホルムズ海峡の市場への影響
現在、ホルムズ海峡付近の船舶はイランからの攻撃を受けているのですが、現状が続くようなら船舶は西側諸国の海軍の護衛を受け、船団を組んで通過することになるでしょう。
通行に時間はかかるようになりますが安全性は高まり、世界のエネルギー市場でも大きな混乱は起こりにくくなります。
しかしホルムズ海峡が数日を超えて完全封鎖されるようなことがあれば、エネルギー市場にとっては悪夢のシナリオになってしまうでしょう。
イランによってたとえ1日海峡が封鎖されただけでも、原油価格は1バレル=120-150ドルまで急騰する可能性があるという試算もあります。
国際指標の北海ブレント原油は2月20日時点で年初来平均66ドルでしたが、封鎖が示唆されている現時点でも85ドルから120ドルの間で乱高下しているのです。
ただし、ホルムズ海峡を封鎖するとイランも自国の石油を輸出できなくなるため、経済に大きな打撃となってしまいます。
また、中東からの原油供給が滞ってしまうと中国との関係も悪化してしまう可能性も考えられるでしょう。
中国はイラン産原油の最大の買い手であり、欧米主導の制裁や決議からイランを守ってきました。
ホルムズ海峡を経由して周囲の石油産出国は世界へと輸出しているのですが、中でも最も多くの石油を輸出しているのはサウジアラビアです。
しかしサウジアラビアは国内を横断して紅海沿岸のターミナルまでつながるパイプラインがあるため、封鎖されたとしても対抗することができます。
1日に500万バレルを輸送することが可能で、活用することで他の場所へと運ぶこともできるのです。
UAEも油田からオマーン湾沿いの港に至る日量150万バレルの輸送能力を持つパイプラインがあるため、活用することでホルムズ海峡をある程度は避けることができます。
イラクからは昨年再開されたトルコ経由で地中海沿岸まで運ぶことのできるパイプラインがあるのですが、北部にある油田からしか運ぶことができないのです。
イラクからの原油輸出のほぼ全てはバスラ港から海上輸送されて、ホルムズ海峡を通過しています。
また、他の選択肢がない国もいくつかあるため、ホルムズ海峡を通じて輸出する以外の選択肢はないのです。
イランもホルムズ海峡を通って石油を輸出していて、昨年はイラン産原油が海峡を通過した量が近年では最多となっています。
1980年から1988年のイラン・イラク戦争では特に石油施設が狙われていて、両国とも商船を狙うようになってタンカー戦争と呼ばれていたのです。
米海軍は、イラク産原油を運ぶクウェート船舶の護衛に乗り出して石油が無事に運ばれるよう尽力することとなりました。
最近もかなり危険性が高まっていて、船舶が危険にさらされる時間を最小限に抑えるためにホルムズ海峡通過時の速度を上げるようになったのです。
米国はまた、米国旗を掲げている船舶に対してはホルムズ海峡航行時に可能な限り、イラン領海から距離を取るよう勧告しています。
最後に
ホルムズ海峡はペルシャ湾とインド洋を結ぶ狭い水路ですが、周囲の石油産出国が石油を輸出する際に通ることの多い海峡なので非常に重要な場所です。
特にサウジアラビアとイラク、クウェート、UAE、イランからアジアに向けて運ばれる際はほぼ通ることになり、液化天然ガスも同様に運ばれています。
ホルムズ海峡を封鎖した場合は世界経済に大きな影響を与えることになりますが、イランにとっても痛手となる選択肢です。

※上記は、一つの例になります。幼稚園や保育園のような事業所もあれば、お昼頃まで支援しているところや朝から夕方まで預かっているところなどそれぞれです。また、事業所によっては送迎をしているところもあります。